何もかもが珍しい。スパイスの香りが漂う。日本とは異なり、常に何かの匂いがする。
鳴り続けるクラクション、人々の話し声、アラビアンナイトのような太鼓の音、常に何かの音が聞こえる。
この日のために、外国という所に行ってみたくて中学校からラジオ英会話を聴き始めた。その英語が通じる。意思を理解してもらえるし、顔も身なりも全く異なる人が言いたい事も理解できる。会話の度に成功した感じで、とても嬉しい。
カレーを食べてルピーを支払う、ラッシーを飲んでルピーを支払う。日本円以外のお金が街中で使えるのが面白い。気温と湿度からくる熱気と、人々の熱気。その一方で、瀕死の病人が路地に無数に横たわっている。そして、突然にスコールが降ってきた。
19歳の自分は初めてのバックパッキングに酔いしれていた。その後にコレラに罹ってベッド上で安静にしていたけど、早く外に行きたい、まだ見ていない物を見てみたい、じっとはしていられない。窓から見える空は青空なのに。
その後も色んな国をバックパッキングし、卒業後は農業開発の仕事に就いて幾つかの国で勤務したのは、きっと初めてのバックパッキングの時に感じた興奮を探し求めていたのだろう。でも、同じ国はどこにも無かった。
あそこは誰もが一生に一度、初めてのバックパッキングでしか行けない国だった。
メンバーA
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